抗がん剤TS1の効果と副作用

日本人により開発された抗がん剤TS1は、5-フルオロフラシル(5-FU)を基にその効果を高め、副作用を軽減した経口抗がん剤です。国内における臨床試験の結果、進行性の胃がんや、再発してしまった胃がんに対して抗がん剤TS1を単独投与することで、47%の患者にがん縮小の効果があり、直腸・結腸がんで33%、頭頸部がんで34%の効果がみられました。また、これまでに抗がん剤治療をしていない非小細胞肺がんの患者に対しては、抗がん剤TS1とシスプラチンを併用投与することで48%の患者にがん縮小の効果があり、単独投与より効果を得られることが明らかになりました。このことから、抗がん剤TS1は進行性胃がん、直腸・結腸がん、頭頸部がん、非小細胞肺がんの第一選択薬として使用されることが多い抗がん剤です。抗がん剤TS1の主な副作用は、悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状や口内炎、下痢などの症状があります。また、5-FUが骨髄を攻撃してしまうことから、白血球や赤血球、血小板が減少し、貧血や出血、感染症の症状が出やすくなります。抗がん剤にはどうしても副作用が付き纏いますが、医師に伝えることで軽減できるものもありますので、しっかりと向き合うことが肝心です。

抗がん剤投与による化学療法

最近ではどんどん進歩してきた化学療法によるがん治療ですが、抗がん剤による化学療法でがんを完治できる症例は残念ながらまだまだ少ないのが現状です。抗がん剤を使用した治療では、がん細胞に対して威力を発揮する毒性の成分を体内に取り込むことで、がん細胞を攻撃し破壊することが目的です。しかし、がん細胞だけでなくそれと似た性質を持つ正常な細胞をも攻撃してしまうため、様々な副作用が出てしまいます。また、耐性ができてしまうため、長期間同じ抗がん剤を投与し続けると効果が薄れてくる場合があります。最近では、いくつかの成分を組み合わせることで、短期間で効率良くがん細胞に威力を発揮させることができる抗がん剤や、副作用を抑える成分を含んだ抗がん剤も開発され、以前よりは抗がん剤による化学療法を続けやすくなってきました。私の知人で、ステージWと診断された子宮がんの患者さんがいますが、彼女は子宮摘出後6ヶ月間の抗がん剤投与を行い、今では月に1度の検診で済むようになりました。抗がん剤の副作用もそれ程辛くなく、食事も普通に楽しめているそうです。彼女のように、誰もが副作用の負担が軽く、がんに効果的に作用する、そんな抗がん剤が開発されることを期待してやみません。

経口抗がん剤TS-1について

抗がん剤TS-1は、1999年から大鵬薬品工業株式会社が販売している経口抗がん剤です。主要成分は、テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムの3剤で、5-フルオロウラシル(5-FU)のがん細胞への効果を活かし、副作用を軽くすることを考えて開発されました。抗がん剤TS-1の作用機序は、テガフールが肝臓で5-FUに変化し血中に放出されます。ギメラシルがその放出された5-FUの分解を防ぎ血中濃度を上げることで、がん細胞に対し充分に効果を発揮できるようにします。さらにオテラシルカリウムが5-FUの副作用として出る嘔吐・悪心、下痢、食欲不振などの消化器症状を軽くすることで、薬を長い期間飲み続けられるようにしたものです。抗がん剤TS-1は、日本では、胃がん、結腸・直腸がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、手術不能又は再発の乳がん、膵がん、胆道がんの治療に使用されており、今後も適応の拡大が期待される抗がん剤です。2006年12月には、国内での臨床試験により進行性の胃がんの術後に抗がん剤TS-1を経口投与することで、生存率が上がることが明らかになり、胃がんの多い日本人には大変ありがたい薬と言えるのではないでしょうか。

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